大判例

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大阪地方裁判所 昭和45年(ワ)2716号 判決

〔判決理由〕

一、本件交通事故の状況

請求原因(一)の1ないし4の事実は当事者間に争いがない。<証拠>を総合すれば、なお次の事実が認められる。

(一) 本件事故現場は南北に通ずる直線の高速道路上で南行車線は幅員が8.6メートルで二車線に分れている。

(二) 被告浮田は、事故車を運転して本件事故現場付近を南進中、進路前方第二車線を走行している原告運転の乗用車(以下原告車という)を追い抜こうとしてその左側に事故車を併進させた際、同車のリアバンバー右端を原告車の左側部に接触擦過させたが、これに気づかず、そのまま原告車を追い抜いて第二車線上を進行しつづけたこと、ところが原告車がクラクションを鳴らしながら事故車に迫りその左側を追い抜いて第二車線進路前方で急停車したので、危険を感じて事故車の急ブレーキをかけた後最徐行の状態でハンドルを左に切り第一車線に出て原告車の左横を通り抜けようとしたこと、そのとき原告が車から降りて事故車に近寄り運転席の窓ガラスを叩くので、同被告は、さきほどの事故車の追い抜き方法について怒つているものと思い、また濃いサングラスをかけ柄もののシャツを着ている原告に恐怖心をおぼえてそのまま進行を続けようとしたこと、そこで原告が突然事故車のボンネットの上に飛び乗つたので、同被告は気が動てんしブレーキペタルとアクセルペタルを踏み違え、原告をボンネットの上に乗せたまま第一車線を時速約二〇キロメートルの速度で二〇メートル以上進み、助手席に座つている訴外森田の「止れ」の声に気がついてようやく急ブレーキをかけて停車した。

(五) これよりさき、原告は、前記のように事故車が原告車に接触したにもかかわらず停車しないでそのまま進行を続けているのを見て当て逃げだと思い、これに注意を与えるべく、事故車に近寄つて原告車を停止させ、同車から降りて事故車の窓ガラスを叩くなどして事故車を止めさせようとしたが、事故車が応じそうにもないので、ついに右手にサイドミラーを握り左手でワイパーの取付部を持つて事故車のボンネットの上に飛び乗り、次に両手で同取付部を持つて頭を運転席の方に向けひざをボンネット上に乗せて前かがみの状態でいたところ、同被告において急停車したため、そのはずみで両手がワイパーから離れてそのまま滑るようにボンネットの前部を通つて尻の方から路上に転落した。<中略>

四、過失相殺

前示一で認定した本件事故の状況によれば、本件人身事故は原告が走行している事故車のボンネット上に飛び乗るという異常な過失行為に基因するところ大であると言わざるを得ないが、原告にも、事故車の接触事故後の動向が当て逃げを思わせたことが契機となつている点において同情すべきところがあるので、これらの点を考慮して前記損害額から過失相殺として六割を減ずるのが相当である(前記損害合計額から六割を減ずると六九〇、四五六円となる。)。

(本井巽 斎藤光世 伊東武是)

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